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早いもので、2022年ももう6月が終わろうとしています。つまり、一年の半分が過ぎたということ。

実は、日本の神社には、一年の半分と一年の終わりに、「大祓(おおはらえ)」という行事があるのです。つまり、一年の半分と一年の終わりに、自分に着いた “厄”を落としましょう、という行事です。

人間は生きていると知らず知らずのうちに体に罪や穢れを溜、身体に溜めてしまっているもの。

節分ほどメジャーな儀式ではないかもしれませんが、一年が半分過ぎた目安として、また振り返りの意味でも重要な儀式だと言えます。

ここでは、本格的な夏を迎える前に神社で行われる“夏の大祓(夏越しの祓い)”の行事の由来と行事の紹介をしたいと思います。

1.夏越しの祓い 茅の輪くぐりって何?

では、具体的に、夏越しの祓(なつごしのはらえ)とはどんな儀式なのでしょうか?

神社によくいかれる方は、6月の終わりごろから神社には、「茅の輪」という、茅(ちがや)という植物の葉でできた、人が潜り抜けられる大きなしめ縄が飾られているのを見たことがあるのではないでしょうか?

これは、“茅の輪くぐり(ちのわくぐり)”と言って、この輪を潜り抜けると自分に着いた穢れが清められる、というものです。

大祓の儀式は6/30と12/31に行われるのですが、12/31は年始の一日前なので、6/30に行われる夏越しの大祓の方がよく知られているかもしれません。

2.茅の輪くぐりの歴史とは?

茅の輪くぐりの歴史はとても古く、奈良時代の備後国風土記に由来となる話が収められています。

茅の輪くぐりの由来は、日本神話に出てくるスーパーヒーロー、スサノオノミコトにちなんだもの。

正体を隠して旅をしていたスサノオノミコトが、旅の途中である土地で宿を探していました。そこで、裕福な巨旦将来という人物に宿を頼んだのですが断わられてしまいました。ところが、その兄の蘇民将来という人物は、貧しくて豪勢なもてなしはできませんでしたが、スサノオを泊めてもてなしたのです。

すると、スサノオは蘇民に小さな茅の輪を渡し、これを腰に身に着けていれば災厄を逃れることができると言いました。その後、その土地で疫病が流行した時に、蘇民将来は茅の輪によって助けられたのでした。

この話を元に、江戸時代には大きな茅の輪を作り、そこをくぐれば穢れを祓うことができるという「茅の輪くぐり」という神事になったと伝えられています。

3.夏越しの祓い 茅の輪くぐりの意味

茅の輪くぐりは年2回、6月30日と大晦日である12月31日にありますが、夏の茅の輪くぐりのほうが一般的であり、6月30日だけ行うという神社もあります。

夏の茅の輪くぐりは夏越しの大祓と言われ、その名の通り、夏の暑さが本格的になる前に身体を清め、病気をしないようにという目的で行われます。

その他にも、昔はお盆の時期には先祖だけでなく、水神様という神様を迎えるとされていたので、この水神様に粗相がないように6月のうちから身体を清め、準備をしておくために行われていたとも言われています。

一方の12月に行われる年越しの大祓はその名の通り、その年のうちに穢れを払い、気持ちを晴れやかにして新年を迎えるための神事です。

どちらも気分を一新して新たな気持ちで生活を始めるために行われる行事で

4.茅の輪くぐりのくぐり方

では、茅の輪のくぐり方も説明しますね。

茅の輪とは名前の通り、茅(チガヤ)という植物から作った巨大な注連縄(しめなわ)で、大きさは直径6尺4寸(1,939.392mm)あります。

その巨大な輪を神社の参道に吊り、神官を先頭にして氏子が左右から八の字を描くようにその輪の中を潜っていくと、穢れが祓い清められると言われています。

(茅の輪のくぐり方)

① まず、茅の輪の前に立って軽く礼をし、左足からまたいで輪をくぐり、

左回りに回って元の位置に戻る。

② 茅の輪の前で軽く礼をし、右足からまたいで輪をくぐり、右回りに回って

元の位置に戻る。

③ 茅の輪の前で軽く礼をし、左足からまたいで輪をくぐり、左回りに回って

元の位置に戻る。

④ 茅の輪の前で軽く礼をし、左足からまたいで輪をくぐり、ご神前まで進む。

いつもの参拝の要領で、二拝二拍手一拝の作法でお参りする。

茅の輪をくぐっているときに神拝詞(となえことば)を言いながらくぐってみましょう。私の近所の神社では、大祓の行事では神主の方が神拝詞を唱え、参拝客はその後をついて回りました。

一般的な唱え言葉は、「はらへたまへ きよめたまへ まもりたまへ さきはえたまへ」(祓い給へ 清め給へ 守り給へ 幸え給へ)

※ 茅の輪くぐりの時の「神拝詞(となえことば)」は、違いますので、各神社でお尋ねください。

人形について

 人形(ひとがた)とは、人の形を模した紙の形代(かたしろ)のことで、「形代」(かたしろ)は神霊が寄り付きやすいように人の形に整えられています。

この形代に自分の名前と年齢を書き、3回息を吹きかけた後、形代で身体をなでます。そうやって自分の罪や穢れを人形に移し、それを神社に奉納して焚き上げてもらいます。

茅の輪くぐりの時に絶対にやってはいけない事

それは、「茅の輪の草を何本か引き抜く、もしくは引き抜いて持ち帰る」ことです。これは絶対にやってはいけないそうです!

というのは、茅の輪は、多くの参拝者の穢れを吸収しているので、それを引き抜いたり、持ち帰ったりする行為は、穢れを自分の体に吸収していることになり、たくさんの人の疫病・罪穢れを家に持って帰る行為となるからです。

↑ ↑ ↑ 一週間経ったら見事に枯れていました、こんな感じですー

5.まとめ

と、ここまで夏越しの祓いと茅の輪くぐりの神事や由来についてご紹介してきました。

実は、私は6月までに本当に嫌な不運に見舞われてしまう出来事があったので、2022年前半についた厄を落としたいと思い、早速先週の土曜日に氏神様にお参りに行って茅の輪をくぐってきました。

厄や神様のお恵みなどは目に見えませんが、お参りに行くといつもなんだか大きな力に護られているような気持ちになれます。今回は身体についた罪や穢れを落として“浄化”=リセットして、残りの半年間は盛り返せるようにお願いしました。

茅の輪くぐりで得られるのは身体の浄化だけではなく、“心の浄化”でもあるのです。お参りの目的は、身も心も軽くなり、心身ともに健康な状態が得られるようになること。

是非、茅の輪めぐりに行って、また新しい自分に生まれ変わりましょう.