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昨今大流行のパワースポットブームのおかげで、寺社仏閣へ出かける人はとても増えていますよね!何を隠そう、私もその一人です。

でも、日本人は神社とお寺の両方にお参りに行くけれど、皆さんその違いを分かってお参りしてるんだろうか…?そもそもお寺と神社ってどう違うの?と疑問に思いました。

私のように神社とお寺の違いを意識した人も多いのではないでしょうか?

そこで調べてみたところ、神社とお寺には様々な違いがあったのです。前回は「神社編」として、神社の基本的な造りや成り立ちをご紹介したので、今回は「お寺編」として、お寺の基本的な成り立ちや境内の造りについてまたお寺にしかないものなどについてご紹介したいと思います。

神社編はこちら ⇒ お寺と神社、いろんな違いがありました!まずは神社編を紹介します!

寺院の施設と建物名称

寺院の建造物は、礼拝(らいはい)の対象を祀る「堂塔」と、僧衆が居住する「僧坊」とに区分されます。寺院の建物の総称を“伽藍(がらん)”と呼びます。「堂塔」は、釈迦もしくは仏陀の墓を指し、仏舎利とも呼ばれています。祖形は土饅頭型でしたが、暑さを避けるために傘を差し掛けたものが定着して、中国で堂塔となりました。日本にも中国様式が入ってきて、三重塔・五重塔・七重塔などが立てられ、土饅頭の痕跡を残した多宝塔などが出現しました。

地方のお寺は寺院近在を中心とした檀家と呼ばれる信者さんを抱えて墓地を保有・管理している所が多く(檀那寺)、神社と違って檀家以外には門を閉ざしている場合が一般的です。

寺院境内模式図

伽藍配置(例:瑞龍寺) A:総門 B:山門 C:回廊 D:仏殿 E:法堂
F:禅堂 G:鐘楼 H:大庫裏(Wikipedia) ファイル

禅宗寺院では下の七施設を基本要素とし、いわゆる七堂伽藍(がらん)と称する。
*伽藍:寺院の建物の総称
*金堂:寺院でその本尊を安置する堂。本堂ともいう。

施設名
山門(さんもん)
本堂・仏殿(ほんどう・ぶつでん) – 本尊を祀る
法堂・講堂(はっとう・こうどう) – 信者や雲水に説法・法話を行う施設
僧堂・禅堂 雲水が起居し、坐禅修行を行う
庫裏・庫裡・庫院(くり・くいん)寺の厨房である。事務所や住職の住居を兼ねる場合もある
東司(とうす) – 御手洗いのこと。
浴室

その他、寺院の規模により,

方丈(ほうじょう) – 住職の居所がある。

寺院 建築様式の種類

代表的な建築様式
和様(わよう) – 東大寺法華堂・唐招提寺金堂、平等院鳳凰堂など
禅宗様(ぜんしゅうよう) – 南禅寺南大門、功山寺仏殿など
大仏様(だいぶつよう) – 東大寺南大門、浄土寺浄土堂など
新和様(しんわよう) – 長弓寺本堂など
折衷様(せっちゅうよう) – 鶴林寺本堂・明王院本堂など
寝殿造(しんでんづくり) – 毛越寺の庭園など
書院造(しょいんづくり) – 園城寺の勧学院や光浄院など

伽藍配置について

【法隆寺式(左)】
法隆寺では塔と金堂が並列に配置されています。この変化は、仏像が置かれる金堂も一緒に見わたせるようにするためです。さらにこの後、金堂が伽藍(がらん)配置の中心になるように変化していくことになります。

【四天王寺式(右)】
仏像がなく塔のみが礼拝の対象であった、大陸の伽藍配置を残すのが四天王寺です。門からすぐのところに塔が立ち、その後ろに金堂があります。日本最初の寺院、飛鳥寺も同様に、塔と金堂が一直線に並んで建てられています。

(*前述で紹介した禅宗様式の伽藍配置ですが、これは右側の四天王寺方式を踏襲しています。)

変化した浄土のミニチュア

日本の建築技術の発展は、寺院建築とともにありました。神社の建立ががはじまったのも、寺院が建てられるようになった影響が強いのです。

見た目には同じに見える部分もありますが、神社は日本固有の建築様式を追求したため、細かな部分でつくりが異なります。

たとえば本堂。お寺ではひとつ屋根の下に、本尊を祀る内陣と拝むための外陣が存在します。しかし、神社では本殿と拝殿を厳格に分離し、ひとつに見えてもよく見ると屋根がそれぞれに存在します。

そもそも寺とは、仏像があり、仏の世界のミニチュアが作られたもの。寺の境内にある建物は、伽藍、正式には僧伽藍(そうがらん)と呼ばれます。

さらに、金堂や塔、回廊、門などの必要な建物をすべて揃えた寺は、七堂伽藍(しちどうがらん)と呼ばれ、現在は総本山クラスの大きな寺院の代名詞になっています。

では伽藍の役割とは何なのでしょうか?金堂は、本尊である仏像が祀られ、寺院の中心となるパターンが多いです。塔は仏舎利(ぶっしゃり)という仏の遺骨を納めるためのものです。これら伽藍の配置は、時代によって変化しているので、伽藍配置により分類することで時代を識別する

ことができます。その名称や種類は、宗派によって異なりますが、寺をめぐるときのひとつの楽しみとなると思います。

お寺に見る建造物

<門>
神社でいえば鳥居にあたり、仏が住まう神聖な空間と俗界を隔てるものです。神社とは異なり、基本的に真ん中を通っても構いません。宗派により、山門や三門と呼ばれる門もあります。

<仁王>
神社の狛犬と同じく阿吽(あうん)の姿をした一対の像です。外敵を威嚇し、伽藍などを守る守護神です。仏像としては金剛力士像と一般的には呼ばれます。

天に属す、仏教界のガードマンです。奈良の東大寺のものなどが有名ですね!


(図はすべて、”Discover Japan”より)

<本堂>
寺院の本尊である仏像が安置されている建物を総称して本堂といいます。どんな小さな寺にも必ず存在する重要な伽藍です。上記の配置図の寺であれば、金堂がそれにあたるといえます。

まとめ

さて、お寺の造りのご紹介はいかがだったでしょうか?見た感じ、お寺の名称は漢字が多くて難しそうですよね。でも、大まかな違いとして、

・お寺は外国から渡ってきた宗教であること
・なのでお寺の造りもインドや中国の影響を受けていること
・金堂、本堂、山門などお寺にしかない建物があること
・お寺には狛犬はなく、仁王が立っていること

などなど、これらを意識するだけでもお寺への参拝が興味深くなるのではないでしょうか?

神社は神道の神様を敬い讃えるために存在し、寺院は仏教観念に基づいた”浄土のミニチュア“を形作っているものなのですね。ただ、信じる対象は違っていても、日本人の心の中に神社も寺院も深く根付いていることには間違いはありません。

参拝をより楽しく興味深いものにするための、皆さんの知識の一助になればとても嬉しく思います。