神社への参拝が大人気の今日この頃。神社へ行くと必ずあるけれど、
あまり関心が払われないものとして、前回狛犬を紹介しました。でも、
もう一つ神社に行くと必ず遭遇するものがありますが、それは何だと
思いますか?
神社にあって、あまりにも当たり前すぎて、気に留めないけれど必ずそこに
あるもの、実はそれは鳥居なんです!鳥居があることで、私たちはそこに
神社があることを認識するのですが、そもそも鳥居は何のために建っている
のでしょうか?何となく謎の多い鳥居を今回は調べてみました!
1.そもそも鳥居って何なの?
鳥居の起源ですが、実はこの起源は詳しいことは分かっていません。
諸説があり、
・ユダヤ教と関連がある説:ユダヤ教で「トリイ」とは門を意味
する言葉だから。古代イスラエルの建物の玄関は鳥居と形がそっくりだから
という説。
・天岩戸説:天照大御神が天岩戸に
閉じこもり、国中が真っ暗になったとき、何とか出てきてもらうために、
天岩戸の入り口にあった“宿り木”に鶏を止まらせて泣かせた言い伝えが
あります。「宿り木に鳥を止まらせて泣かせた=鳥居」とそのまま鳥居と
いう建造物になったと言われています。
鳥居といえば神社を想像しがちですが、数は少ないものの鳥居のあるお寺も
あります。昔、日本には神仏習合という考え方があり、お寺と神社は一緒に
建てられた時期がありました。しかし、江戸時代になってからは神仏分離
(神と仏は分ける)により神社とお寺は分けられるようになり、明治時代
には神仏判然令によって神仏習合は禁止されました。鳥居のあるお寺は
この神仏習合の名残を引く数少ない例の一つと言えるでしょう。一般的にはお寺には鳥居ではなく、「山門」があります。
2.鳥居の種類
鳥居の数え方は「基(き)」です。一基、二基、三基、と数えます。
鳥居には大きく分けて二種類あります。
鳥居といえば神社のシンボルですが、そのツールは実にシンプルで、2本の
木柱の間をさらに木でつなぐものでした。
現在では、鳥居の上部に笠木を渡して、その下を貫と呼ばれる部分で連結
させるのがよく見る鳥居です。種類は、主に「明神鳥居」といって笠木が
上に反った鳥居と、「神明鳥居」という直線的な鳥居があります。中世
以降は、石材でつくられる鳥居も多く存在しています。
では鳥居に朱色が多いのはなぜでしょうか?実は、これらは魔除けとして
呪術的な意味合いがあり、血の色につながる朱色が使われています。また
火や太陽といった意味も含まれています。
朱色の原料としては、辰砂といわれる水銀が使われています。この辰砂は、
木材の腐敗を防ぐ効果があり、多くの鳥居で使われています。呪術的な
意味合いもありますが、実用的なメリットもあるのです。
ちなみに、鳥居の色は赤ばかりではありません。白や黒の鳥居も存在して
います。有名なところでは、伊勢神宮や出雲大社の白い鳥居。白といっても
真っ白に塗られているわけではなく、皮を剥いだ白木の色です。ただし、
五穀を司る倉稲魂命(うかのみたま)を祀った稲荷神社の鳥居は赤が基本です。
3.鳥居の役割
そもそも神社とは、神様が住む聖なる地です。そして、その神殿よりも前に
ある鳥居は、神域(神の世界)と俗界(人の世界)を隔てる門として存在
しています。ここをくぐることで、穢れを祓い、神様のいる神域に入る
ということで鳥居があるのです。鳥居がいくつもある場所は、それを
くぐっていくことでさらに神聖なる場所へ進む上での祓いを受けていると
考えられています。
4.鳥居が建てられている美しい風景
鳥居は通常神社の入り口に建てられていますが、その中には海の中に
建てられていたり、海岸沿いの崖に連なって建てられていたり、景色として
大変美しいものもあります。神社の写真で海岸の中に建っている鳥居や、
断崖絶壁に建てられた鳥居を見たことはないでしょうか?例として、
いくつかの美しい鳥居の写真をご紹介しますね!
元乃隅稲成神社(もとのすみいなりじんじゃ)
山口県長門市にある元乃隅稲成神社の鳥居は海岸沿いに123基もの鳥居が
立ち並ぶ、「これは絶景!」と呼ばせるような風景を供してくれる神社
です。2013年にはCNNの ”日本の美しい風景100選” にも選ばれました。
それもあってか、昨今は大変人気の高い神社で、山口県の観光シンボル
であり、旅行会社ではツアーも組まれているほどなんです。
私もこのブログで元乃隅稲成神社を紹介しています ⇒
息を呑む美しさ!元乃隅稲成神社、絶景の中の123基の鳥居を見に行こう
龍宮の潮吹側から100mにわたり123基の鳥居が連なる姿は大迫力で、
まるで赤色の龍が海から昇ってくるようですよね!
もう一つ、近江最古の神社、
白鬚神社(しらひげじんじゃ)
(CC: 湖上の鳥居と暁光(Rising sun with Torii on the lake) 20 Dec, 2015 by Hiroaki Kaneko )
2000余年以前の創建で近江最古の神社といわれており、琵琶湖上に浮かぶ
大鳥居の凛とした姿は大変美しい。大鳥居の間から昇る朝日、夕日に
照らされた朱の鳥居、日没後のライトアップ(土日のみ)など、時間ごとに
変わる表情が非常に幻想的です。(写真は朝日を背景にしたもの)
最後に、鳥居と言えばここしかない!というくらい有名な神社、それは
外国人にも大人気の京都の伏見稲荷大社です。
この神社の鳥居は11,000基以上と言われています。延々と連なる鳥居の
トンネルをくぐり山頂へと続くお参りの道は、まるで私たちを別世界へと
誘うような感覚におちいらせてくれます!
5.まとめ
鳥居の歴史を紐解いて、その成り立ちや意味を調べてみると、神社参拝に
行くだけでは気付かなかった発見が沢山ありました。鳥居そのものが
パワースポットになっているといってもおかしくないとぐらいではないで
しょうか?ご利益を頂きに神社やお寺を巡るのも一つですが、次の参拝の
時はせひ、神社の正面に佇む鳥居にも注目してみて下さいね!