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あなたは神社やお寺が好きですか??

今、パワースポットブームが花盛りで、沢山の人が寺社仏閣を訪れています。
日本人であれば、一度は訪れたことがあろう、神社お寺、でももし、あなたが若者だったら・・・?寺社仏閣に最後に行ったのはいつだったか覚えていますか?

時代は今、過渡期に移ろうとしています。少子高齢化が進むということは、今後寺社仏閣へ参拝し続けてくれる世代が減っていくということ。でも、日本の若者は神社にはいかないのでしょうか?
神社にとってそんな危機感がある中、新しい取り組みを行っているところがあるのです。今回は、若者を取り込む神社の新しい試みについてご紹介します!

日本の若者は宗教観が希薄?

内閣府が発表している調査によると、日本の若者(満13歳から満29歳まで男女)の宗教観は、外国と比較して希薄であることが分かっています。「宗教が日々の暮らしのなかでこころの支えや態度・行動のよりどころになると思うか」の問いに対し、『そう思う』と答えたのはわずか18.1%(『そう思う』3.5%、『どちらかと言えばそう思う』14.9%)で、これは調査7か国のうち最下位の数字でした。

もともと日本には絶対一神教の宗教は根付いていないこともあり、日本人全体としても宗教観自体が薄いとも言えます。定期的に祈りや教会などの宗教施設に通う習慣がないのですから、ある意味当然かもしれません。寺社仏閣を訪れるのも、初詣などの大きなイベントを除くと圧倒的に中高年の人たちが多いことからもうなづけるでしょう。                                    しかし、ただでさえ少子化の今、このまま今の若者たちの足が寺社仏閣から遠のいてしまうと、その子供や孫の世代の参拝客はもっと減少していくことが懸念されます。参拝者のお賽銭、守りやお札などは神社にとっての大きな収入源。こうした事態に危機感を抱いている神社の中に、大胆な戦略に打って出るところが現れました。

まず、代表格は東京千代田区にある、神田明神(正式名称:神田神社)。江戸の三大祭りである神田祭で知られ、古くから江戸の鎮守府として篤い信仰を集めているこの神社に、なぜ若者の姿が増えているのでしょう?

江戸の鎮守府 神田明神のIT戦略!

神田明神に若者の姿が目立ち始めたのは、2014年の秋頃から。その頃神田明神は、若者の参拝客を取り込むために伝統とは対極にあるIT戦略を開始しました。その結果、多くの若者たちを取り込むことに成功しました。では、具体的にはどのような戦略なのでしょうか?

SNSを駆使したプロモーション体制の構築
まず、2014年8月から神社単体でのTwiter、Facebook、LINEの公式アカウントを開設。神社のイベントの告知や、当日の模様を写真で伝えるなど積極的に活用。また、従来からあったホームページやモバイル専用のサイトを大幅にリニューアルしました。無料の会員登録ができるようになり、占いなどのオリジナルコンテンツが楽しめる作りになりました。                            神田明神 LINEアカウント

TVアニメ「ラブライブ!」とコラボした、お守りや絵馬の授与
TVアニメ「ラブライブ!」に神田明神が登場することから、2014年11月に作品とのコラボレーションが実現!これが若者を取り込む大きなきっかけとなりました。登場メンバーがデザインされた絵馬やお守りが授与されましたが、これは神田明神でしたか手に入らないものとして、授与開始日には多くのアニメファンの若者が神田明神に集結。準備された授与品はその日のうちになくなってしまったとのことで、現在でもその人気は衰えを知りません。
(出典:Amazon ホビー)

LINEオリジナルスタンプを販売
2014年9月からは、オリジナルのLINEスタンプの販売をスタート。「神田明神キャラクターズ」と銘うったユニークなキャラクターのスタンプは好評で、シリーズ第三弾まで発売されています。やはり若者世代が毎日使うLINEでのアピール度は抜群のようです。2014年末には、エサカマサミさんデザインの公式キャラクター、「江戸っ子みこしー」も登場。大人の女性でも十分に可愛いと思えるようなスタンプで、私も購入してみたくなりました。

(出典:神田明神ホームページ)

Youtube、Ustreamで動画も配信!
2015年は神田明神にとってご遷座400年の記念すべき年でした。そこで、5月10日に行われた神田祭では「ご遷座400年奉祝大祭」と銘打たれ、告知用にYoutubeチャンネルを開設、当日はUstreamで模様をライブ配信するなど、神社や祭りを盛り上げるための取り組みを多方面から行ったのです。特設サイトでは、ラブライブ!の神田明神限定ストラップやTシャツも販売されました。若者が毎日使うアプリとしてYoutubeが欠かせないものとなっている今、動画での情報公開は莫大な影響力を持ちます。

さらに、神田祭の一週間前にはプロ野球 巨人対阪神戦(5月2日:東京ドーム)は「神田祭デー」として開催され、江戸っ子みこしーも登場。神田祭公式グッズが当選する抽選イベントなども行われ、大いに盛り上がりました。プロ野球ともコラボを果たし、神田祭を効果的にアピールすることに成功したのです。

ラブライブ!以外のアニメともコラボ
神田明神はラブライブ!だけではなく、「えとたま」とのコラボも決定しました。えとたまの登場キャラクターが入った絵馬とお守りが2015年5月2日から授与されています。

(出典:えとたま公式ホームページ)

その他の神社仏閣でもITの活用シーンは広がっている

この流れを見ると、若者を神社仏閣に取り込めた一番の要因は、SNSとアニメの相乗効果だと言えるでしょう。若者は自分の好きなものには一生懸命になるもの。アニメとのコラボが話題のきっかけとなり、それがSNSで爆発的に広がっていくという構造です。

この頃よく見かけるようになった、ネット上での参拝体験
実際に参拝に行ってみないと神社の雰囲気や境内のことは分かりませんが、ホームページ上で境内の様子を紹介している神社も見かけるようになりました。例えば、東京都港区にある増上寺は徳川将軍15大のうち6人が葬られている由緒あるお寺ですが、Facebookでのプロモーションに加え、スマホ向け現実拡張アプリ「xAR(エックスエーアール)」を使った境内案内サービスを開始しました。大殿、安国殿、勢至像にカメラを向けると、オリジナル映像や記念写真用フレームを利用できます。特に女子参拝客は写真を撮ることが好きなので、これは喜ばれるサービスですね!

SNSが要!
京都にある地主神社、三大SNSである、Facebookn、Twitter、LINEの三大SNSを活用し、特にLINEのお友達登録をすることで様々なコンテンツを提供しています。お友達登録はすでに4000人を超えています。地主神社のご利益は「縁結び」に特化しているので、恋愛にちなんだコンテンツが多く、良縁を望む女性をターゲットにしたものとして秀逸です。
元祖アニメのプロモーションを利用した、東京八王子にある、了法寺。2009年に美少女のイラスト看板を設置したことで話題になり、萌え寺とよばれるようになりました。その後、FacebookやTwitterでのプロモーション、オリジナルテーマソングの制作、TouTubeチャンネルでの番組配信、さらにスマホ用ゲームの配信など、活用範囲は多岐に渡ります。

まとめ

今後は、ITを駆使した神社戦略はまずまず活発化していくでしょう。この流れは神社だけにとどまらず、自治体規模でもアニメキャラクターを起用した街おこしの戦略は盛んになっていくと考えられます。神社に限らず、美少女アニメキャラを使った街おこしの手法は “萌えおこし”とも呼ばれていますが、地域を盛り上げるためにはどこも自治体組織との連携は欠かせません。現在の日本が少子高齢化に悩むことからも、特に地方では “街おこし”が必要になるはずです。

この “萌えおこし” の全国的な経済効果は900億円になると言われています。神社とのアニメコラボで若者、そして海外からの訪日観光客も取り込まない手はありません。まさしく、ITと”萌えキャラ”は、まさしく不況にあえぐ日本の強力な地域を活性化させる可能性を持ってるのです!