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皆さんは、日本神話が書かれている “古事記”という本をご存知でしょうか?

以前、神社巡りをもっと楽しむために、古事記に出てくる五大伸をご紹介しました。古事記に出てくる神様やそれにまつわる神話は神社と深く関わっています。というのも、神社で祀られている神様たちは、そのほとんどが古事記に登場する神様たちだからです。でも、存在は有名でも、その神さまにまつわるエピソードは案外知られていないかもしれません。今回は特に有名なエピソード3点をご紹介したいと思います。

日本の国の成り立ち

日本には“神道”という古くからの宗教があり、「古事記」は神道の神典です。古事記を読んでいくと、日本という国がどのように作られていったのかが分かります。天皇は神の子孫であり、その支配性を正当化するための歴史書として「古事記」は大切にされてきました。それでは古事記のある神話から、日本の国の成り立ちを見ていきましょう。

日本列島とアマテラスの誕生

「国を完成させよ」と天上から命じられたイザナギとイザナミは、矛で海をかき回し、最初にできた島、おのころ島を造ります。島に降りたち、夫婦は島や多くの神々を生んでいき、やがて日本列島が完成していきました。ところがイザナミは火の神を出産した時に亡くなり、黄泉の国へ行ってしまいました。

妻を忘れられないイザナギはイザナミを連れ戻しに黄泉の国まで行きますが、妻は屍と化した醜い姿になっていてビックリ!驚いて逃げだしたイザナギをイザナミは追いかけますが、命からがらイザナギは黄泉の国から逃げ出します。黄泉の国で就いた穢れを祓うため、イザナギは禊を行います。この禊によって、日本の神話では重要な神であるアマテラス、スサノオ、ツクヨミが生まれたのでした。

アマテラスとその弟スサノオ

父神であるイザナギに海原を任せられたものの、泣いてばかりいたスサノオ。すべきことをしないため、怒ったイザナギかに海原を追放されてしまいました。スサノオは母のいる根の国へ行きたかったのですが、その前に姉のアマテラスに会いに天上界を訪ねます。アマテラスは「弟が攻めてきたのか」と思いますが、スサノオは邪心がないことを証明します。

しかし、スサノオの変わらない行儀の悪さにあきれ果てたアマテラスは、天岩戸にこもってしまい、天上界に光がなくなりました。困った神々は光を取り戻すためにアマテラスに出てきてもらおうと連日岩戸前で会議を開きました。「岩戸の前で大騒ぎをすれば、アマテラスも様子を伺うために出てくるのでは?」と考え、岩屋の前で神々の歌や踊りが始まりました。アマテラスが外を伺おうと扉を少し開けた瞬間、力の神である天手力男神が扉を開き、アマテラスを外に引き出してようやく光が戻ったのでした。

この事件が原因で、スサノオは天上界からも追放されてしまいます。その後、出雲の国に降り立ったスサノオは、美しいクシナダ姫に出会います。姫は泣きながら、8つの顔と尾を持つヤマタノオロチに襲われていると訴えるのでした。スサノオはおろちを退治し、出雲の国に立派な宮殿を建ててクシナダヒメを妻に迎え、二人は仲良く暮らしました。

オオクニヌシノミコト 国造りと国護り

オオクニヌシノミコトには八十神と呼ばれる大勢の兄弟がいました。兄弟神たちは因幡の国に住む美しいヤガミヒメに求婚するために旅に出ます。オオクニヌシは彼らの荷物持ちとして同行していましたが、道中毛皮を剥がされ八十神に苛められたウサギを助けると、そのウサギは「姫はあなたを選ぶでしょう」と予言。怒った兄弟神たちは、オオクニヌシを殺してしまいました。

しかし、優しい母の力で麗しい男として蘇ります。母が言うには、「兄弟たちに滅ぼされる前に根の国に逃げなさい」と言いました。根の国は死者の国のような場所で、出雲の国から移ったスサノオが住んでいました。スサノオから様々な試練が課されますが、スサノオの娘であるセビリヒメに救われます。二人は苦難を乗り越えて結婚、根の国を出て出雲の国を造りました。

さて、天上界ではアマテラスが地上界を平定しようとしていました。アマテラスは交渉役としてタケミカツチを送り込みます。彼はオオクニヌシの息子と力比べそして勝ったので、オオクニヌシは国を譲ることになりました。その交換条件として、出雲の国には壮大な社殿=出雲大社が建てられ、オオクニヌシは出雲の神様として祀られました。

こんな神様も

ニニギノミコト:地上を治めるために天上界から君臨
天上界を平定したことで、アマテラスは孫のニニギノミコトに地上界を治めるように告げました。彼はアマテラスから受け取った三種の神器と高天原でできた稲穂を預かり、天岩戸事件で活躍した神々を連れて高千穂に君臨。ニニギノミコトの子孫が今の天皇につながっていくのです。

神武天皇:アマテラスの子孫として東を征服、初代天皇となる
地上に降りたニニギノミコトの曾孫であるカムヤマトイワレビコは地上界を統治するのに最適な場所を探すため日向を出て東へ向かいます。熊野からは八咫がらすの案内で大和に入り、反乱を鎮めて奈良の橿原の宮で即位、初代天皇となったのです。

まとめ

ここにご紹介した神話はいずれも大変有名なものばかりで、これらの神話の神様が実際の神社の御祭神となっています。イザナギ・イザナミからも大変多くの神様が生まれているので、この5人以外が祭神になっている神社も数多くありますが、いずれもこの基本神に何らかの形では関わっています。

次に神社に参拝に行かれるときは、そこに祀られている祭神のことも気にかけてみて下さい!例えば、超有名な伊勢神宮は天照大神が、そして恋愛のご利益で有名な出雲大社は大国主命がご祭神となっています。神様に親しみをもって行けば、神社参拝にまた新しい楽しみが増えるのではないでしょうか。