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古き歴史1200年に佇む京都の街。

京都には様々なお寺や神社が立ち並び、またそれらの神社やお寺については様々なご利益が奉じられています。その中でも、特に女性たちが注目するのが良縁や縁結び。京都にある縁結びで有名な神様はこれまた、数えきれないくらい沢山あります。前回は京都にあるお寺や神社ではなくて、”二条城”を紹介したのですが、その二条城からすぐの所に縁結びで知られるお寺があります。それは、「神泉院」。
縁結びの神様には神社やお寺にそのエピソードが存在しますが、神泉院にも恋にまつわる素敵なエピソードがあります。今回は、知る人ぞ知る、強力な縁結びのパワースポットである神泉院をご紹介します!

神泉院、成り立ち

神泉苑(しんせんえん)は、京都市中京区にある東寺真言宗の寺院で、ご本尊は聖観音・不動明王・弘法大師です(それらを模した御朱印もあります)。
神泉院は二条城の南に位置し、元は平安京大内裏に接して造営された禁苑(天皇のための庭園)でした。もともとここにあった古京都湖(古山城湖)の名残の池沢を庭園に整備したものと考えられ、当初の敷地は二条通から三条通まで、南北約500メートル、東西約240メートルに及ぶ、池を中心とした大庭園でした。

歴史史料に初めて神泉院の名が見られるのたのは『日本紀略』の記事です。それは、延暦19年7月19日(800年8月12日)、桓武天皇が行幸したという内容にものです。延暦21年(802年)には雅宴が催されたとあり、この頃から神泉苑は天皇や廷臣の宴遊の場となったとみられています。また、『日本後紀』には、嵯峨天皇が弘仁3年(812年)に神泉苑にて「花宴の節(せち)」を催したとあり、これが記録に残る上では初めての ”花見”と考えられています。

しかしながら、中世以降は荒廃し、慶長8年(1603年)、徳川家康が二条城を造営した際には神泉苑の敷地の大部分が城内に取り込まれ、その規模は著しく規模を縮小しました。神泉苑の水源も城の堀の水源の一つとして奪われてしまったのです。その後、筑紫の僧覚雅(快雅)が朝廷の許しを得て慶長12年(1607年)より元和年間(1615~1624年)に掛けて復興を図りました。弘法大師との縁で、この時より、東寺真言宗の寺院(寺領四十石)となったのです。 (神泉院社と法成御池  CC:663Highland)

竜神様を祀る神泉院

神泉院の池は季節を問わずまたどんな日照りの年にも涸れることがないと言われていました。そのため、竜神(善女竜王)が住むといわれ、天長元年(824年)に西寺の守敏と東寺の空海が祈雨の法を競い、この時は天竺の無熱池から善女竜王を勧請し空海が勝った。また空海以降も密教僧による雨乞いが何度も行われました。

貞観5年(863年)には都に疫病が流行り、神泉苑で御霊会(思いがけない死を迎えた者の御霊(ごりょう)による祟りを防ぐための、鎮魂のための儀礼)が行われました。貞観11年(869年)には神泉苑の南端(現在の八坂神社三条御供社の位置)に66本(当時の律令制度の国の数)の鉾を立てて祇園社から神輿を出しました。これが、現在の祇園祭の元になったと言われています。   (善女竜王社 CC: Japanexperterra)

義経が見染めた静御前

寿永元年(1182年)、京の町は大日照りとなり賀茂川や桂川の水も絶え、日本中の人々が苦しんでいました。慣例によって神泉苑に各寺院の高僧が100名集められ、経を読み雨を祈ったが効験はありませんでした。そこで、見目麗しい百人の白拍子が神泉苑に集められ、、後白河法皇の行幸を仰ぎ、九十九人が舞いを舞ったがそれでも効験はありませんでした。
そこで、後白河方法は、「あと一人舞ったくらいで龍神様が雨を降らせるだろうか」と静御前に舞わせてみたのです。静御前が舞いを舞ったところ、にわかに黒雲が出てきて、三日間大雨が降り続き、国土は安穏になりました。法王は感激されて、静御前に「日本一」の称号をお与えになりました。

そのとき、源義経(幼名:牛若丸)は水干に立烏帽子という舞姿の静御前を見初めて、側室としたそうです。『静御前と神泉苑』(義経記より)

この義経公と静御前のエピソードは何とも言えずロマンティックです。善女竜王が義経と静御前を引き合わせたとの言い伝えもあるとか。これは神泉院が縁結びの神様とされる所以で、神泉院では毎年5月に法成橋の上で静御前の舞が披露されます。
    神泉院ホームページ

また、神泉院には法成橋という橋がかけられています。ここを渡るときに、心の中に願いを一つだけ唱えながら渡ると叶えてもらえると言われています。
[ (CC: 663highland)

御朱印

神泉院では様々な種類の御朱印を頂くことが出来ます。季節によって変わるものもありますが、ホームぺージでは季節のものも併せて16種類!ありました。季節ごとに訪れて御朱印を頂くのもまた、妙だと思います。


神泉院ホームページ 御朱印

まとめ

神泉院にはもうひとつ特徴があります。境内に「恵方社」として「大歳神:歳徳神(としとくじん)」が祀られていますが、毎年大晦日の晩に恵方に祠の向きが変わるのです。これが他の神社仏閣と異なり、日本国内で毎年向きを変える「大歳神」は唯一神泉院だけに見られる祀り方であると伝えられています。
世界遺産二条城からほんの2~3分の距離にある縁結びの強力パワースポット、皆さんも京都の二条エリアに来られた際にはぜひ立ち寄って、ひととき義経と静御前のロマンスに酔いしれてみてはいかがでしょうか?