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この頃はパワースポットブームも相まって、神社・仏閣への参拝が大人

気となっています。御朱印集めも流行っているので、色々な神社に行か

れる方も多いですし、また、遠方の神社への開運ツアーなども大流行

り。でも、寺社仏閣へお参りする時に悩ましいことの一つにお賽銭があ

るのではないでしょうか?お賽銭に関して、何か特別な決まりがあるの

か、いくらお渡しすればいいのか、また参拝する行事ごとに額は変えな

ければいけないのか…気になりますよね?

そこで、今回はお賽銭に関することを調べみたので、ここでご紹介した

いと思います。

1.そもそもお賽銭の意味は?

それではお賽銭の由来について見てみましょう。そもそも「賽銭」はど

ういう意味があるのでしょうか? また、いつから始まったのでしょう

か?

これには大きく分けて二つの諸説があります。

まず、「賽銭」の「賽」という漢字には神仏を祀る・お礼参りをするという意味があり、お願いごとが成就した際のお礼として、神様や仏様に奉納する金銭のことを表すというもの。

貨幣が一般流通していなかった古い時代はお米や幣帛(へいはく)など

をお供えしました。 幣帛とは神社などにおいて神様に奉献する“捧げも

の”の総称です。つまり、何かお願いごとをしてそれが叶ったとき、もし

くは叶えるために昔の人は「賽(さい)」と呼ばれる財産寄与(捧げも

の)をしました。 それが貨幣の流通する時代になってからはお金にかわ

り、「お賽銭」となったのです。お賽銭は基本的にはお願いごとを叶え

てもらうための“代金”という考え方です。

もう一つの諸説、お賽銭は穢れをはらうもの。

しかし、ここで別の考え方もあります。一つ面白いエピソードをご紹介

しますね。

2017年12月28日に放送されたNHKのバラエティ番組「チコちゃんに叱ら

れる」という番組で、5歳のMCのチコちゃんという女の子が、「お賽銭

はどうして入れるの?」という素朴な疑問を投げかけていました。その

答えに対して、出演者たちは皆先ほどの諸説1を答えたのですが、チコ

ちゃんによるとそれは誤りで、本当は「お賽銭を入れるのは、“ケガ

レ”をお金にくっつけて捨てるため」だと言うのです。彼女曰く、「お賽

銭箱はね、“ケガレ”のゴミ箱なの」とのこと、出演者一同「えーーー!

そうなの!?」と驚いきました!

ここで、國學院大學の新谷尚紀教授(民俗学)が登場しました。教授に

よると、「皆さん勘違いしている人も多いと思いますが、お賽銭はお願

い代じゃないんです。お金には災いや汚れを磁石のように吸い付ける力

があると考えられているんです」と解説を加えました。新谷教授の説明

によると、お金のルーツは貝で、古代中国では貨幣代わりに使われてい

た。使用されていた貝には穴が空いており、「貝は命が生まれてくる女

性器に似ているところから、この世とあの世の出入り口と考えられてい

た」という。貝の表がこの世、裏側があの世と言われ、生きている人に

付いた“ケガレ”(病気や災いなど)が、穴を通ってあの世に吸い寄せら

れるとされ、その名残が今のお賽銭に繋がっているそうです。つまり、

「自分の持っているお金をお賽銭として投げ入れることによって、自分

の身を清めることになるんです」とのこと。新谷教授はさらに「これは

あくまでも学問的な分析の視点からの意見ですけどね」と前置きした上

で、「お賽銭というのは“ケガレ”を清めるものですので、額の多い少な

いというのは特に関係ない」と語りました。

神社の基本的な役目に人の罪や穢れを祓い清めるというものがありま

す。私たちが神社にお願いする赤ちゃんが生まれた時のお参り、七五三

のお参り、厄年のお祓いなどもすべてそうです。罪や穢れを祓うための

行事も沢山行われています。そう考えると、新谷教授の考え方は非常に

理にかなっているのではないでしょうか?

2.じゃあ、お賽銭のベストな金額は?

お賽銭の金額についても色々な考え方があります。

一般的によく知られているところは、語呂合わせによる金額など。

例えば、

・5円(ご縁)
・11円(いい縁)
・20円(二重に縁)
・25円(二重にご縁)
・41円(始終いい縁)
・45円(始終ご縁)

などがあります。縁担ぎですが、10円は「遠縁(とおえん)」と読めて

縁遠くなるのでよくないそうです。(5円…ご縁がありますように)、

(5円2枚…重ねてご縁がありますように)など、五円玉を組み合わせて

お供えするやり方もありますが、これも確証はありません。1000円以上

のお札を入れる場合は、白い封筒に氏名と住所を書いてお供えするよう

にしましょう。ただ、お賽銭は高ければ高いほどいい、というものでは

ないとの考え方もあります。



3.お賽銭の作法 お供えの仕方は?

夫婦、家族で参拝するとき、「合わせて11円」などは避けて、一人ひと

りが縁起のいい額を用意しましょう。また、お賽銭は神様への大事なお

供え物、右手で持って左手で右へ流すように優しく入れましょう。初詣

などの時は混んでいますが、間違っても投げ入れずに自分の順番が来る

まで待ちましょう。お賽銭を投げ入れる行為は神様に向かってモノを投

げることになってしまい、失礼に当たります。

4.まとめ

お賽銭の成り立ちを調べていくうちに、思いがけず神社の本来のお役目

を知ることができました。一般的には神社へのお賽銭は、お願いを叶え

てもらいたいのなら少額(1円、5円)であるべきではないと考える向き

もあります。これも、神社へのお賽銭が神社の建物や施設の維持のため

に使われることを考えるともっともな話です。

しかし、前述の國學院大学の新谷教授のお話にもあるように、お賽銭は

もともとはお金ではなく”お米“だったことをみると、金額にこだわるよ

りも「お賽銭は神様へのお礼の気持ち、日々の感謝の気持ち、そんな真

心の表現」を示すものととらえる方が自然だと私は思います。

神社は人々の『ケガレを捨てる場所』ではなく、『キレイにはらい清め

てくれる場所』、そう思えば、お賽銭の金額に思い悩まずに、神様への

感謝の気持ちを示しながら気持ちよくお参りするのがいいと思います

し、何よりこまめに神社にお参りし、神様に会いに行くことを神様も望

んでおられるのではないかと思います。なので、ぜひみなさんも、気軽

な気持ちで親しみを込めて神社へ足を運びましょう!